植物美容道

vol.4 太陽光は味方か敵か 美容と植物から捉える環境対策

こちらでは「植物美容道」の基礎知識、お手入れの基本をコラムでご紹介致します。今回のテーマは「太陽の光」についてです。

Contents

観葉植物と肌は光は必要?それとも…

植物の「光合成」は、小学生の理科で学んだことは記憶している。
けど、光合成って何? たまに肌も光合成しなきゃという人がいますが、それは間違えです。
それを言うなら日焼けということになりますが、紫外線はシミやシワの原因に。
「植物美容道」プロジェクトでは、植物の働きの中でも、光合成の働きに注目しています。その理由、まずは光合成とは何か、見ていきましょう。

光合成の働き

光合成とは、植物に太陽やライトなどの光が当たると、栄養分を作りエネルギーを生み出す働きのこと。
おこなわれる場所は植物の細胞の中にある「葉緑体」で光を吸収。
緑に見えるのはその色の影響によるものです。

光合成に必要なものは水です。
根から吸い上げて、葉の裏にある気孔から二酸化炭素を吸います。
光合成によってでんぷんと酸素が作られます。つまり、植物にとって光があれば、自分で栄養をつくって成長できるというわけです。
ちなみに肌、つまり人間は口からだったり皮膚から食べ物や飲み物などから栄養素を吸収して、栄養を身体に行き渡らせています。

観葉植物は弱い光でも育つ

観葉植物って丈夫だから毎日、日に当てなくてもいいと思っていたらそれは間違いです。強い光を好むものもあれば、苦手なものもあるということ。
植物の専門家の谷奥さんは、お気に入りの観葉植物がどんな光を好むのかは、長く育ってきた環境が基準になるといいます。

原産地が亜熱帯という強い太陽光を浴びて育っても、その後ハウスで長く育っていれば、強い光が苦手。
それを知るためには購入時、店員さんに聞く。
どこで長く育ったが「光の与え方」のポイントです。

肌は日焼け 植物は葉焼け

美肌になりたい。
どんな人でもうるおい、ハリ、シミのない透き通る肌に憧れます。しかしながら加齢による老化をはじめ、シミ、シワ、たるみの原因の80~90%の原因は「光老化」による紫外線が原因と言われています。
直射日光や窓ガラスを透過する紫外線に当たり続ければ、日焼けしてダメージを受けますが、では植物はどうなの?という疑問。

強い光が苦手な植物に、直接光を長く当てれば葉焼けを起こし、しかも植物と光の距離が近いほどダメージは大。
パサパサして枯れていたら、光を当てすぎが原因の可能性あり。
直射日光が当たる部屋はレースのカーテンを引く。この時、風通しをよくすることも忘れず、環境を整えてあげましょう。

紫外線A―波 B―波の影響は?

植物の日焼けならぬ葉焼け。
人に置き換えてみたら……
太陽の光の強さと照射時間で、肌の影響に差が出ます。
1秒でも強い光が当たれば、肌に受けるダメージ大です。
日焼け止めを使う時、紫外線A―波と紫外線B-波をどれだけ防げるのか、SPFの数値とPAの+の数が指標になります。
皮膚の中に浸透して、肌はダメージを受けるので、保護は重要と言うわけです。

植物はどうなのか調べてみると、あるデータによれば、紫外線―A波が芽の成長や、赤紫色の色素(こちらではアントシアニンとありました)の合成を促進させる効果があり、皮膚ダメージのような有害はないという情報も。
愛媛大学の仁科先生に伺うと、植物に紫外線A波、B並みの影響の違いは、ほとんどないとのことでした。

関心のある分野から環境対策を

仕事柄、化粧品に携わっていると、製品が完成するまでの実験や製作工程、データ調査を知ることがあります。植物の中にある紫外線を吸収する性質に着目し、製品化に向けた研究も進んでいます。今回の記事は観葉植物と紫外線の影響がテーマですが、美容という観点から環境に関心を持つ新鮮さ、大切さを私自身体感しています。

観葉植物=太陽の光が大好きだと思っていたら、そうとは限らない。
私たちの肌と同じように太陽光の影響でダメージを受けないよう、部屋の環境を整えると、すぐ枯れる心配もなくなります。
太陽光から環境を捉えてみると、身近に感じられるのではないでしょうか。