こちらでは「植物美容道」の基礎知識、お手入れの基本をコラムでご紹介致します。今回のテーマは「植物とお肌の不調を招く活性酸素」です。
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活性酸素の影響
肌老化の原因の1つに挙げられる「活性酸素」。
生物にとって欠くことのできない酸素ですが、それがどのようにして活性酸素という有害物質に変化するのか、お存知でしょうか?
その影響は人や植物にも及ぶため、健やかさづくりのためにも常日頃、意識してケアする必要があります。
肌と活性酸素については、皮膚研の北澤秀子先生の取材、監修の皮膚理論テキストに基づいてご紹介します。
活性酸素は私たちの身体に悪さをするとか、害を与えるとか、よくないものということは何となくでもイメージできるのではないでしょうか。
ある説によれば活性酸素全てが有害とは限らないそう。
こちらでは有害なものを指します。
まず「活性酸素」とは何かを理解しておきましょう。
活性酸素の基本情報となる「フリーラジカル」についても説明します。
酸素をしっかりイメージ
酸素…、もう何年も前から酸素吸入や酸素カプセルなどが話題になり、酸素をたくさん取ると身体によさそうなイメージがあります。
確かに酸素は生きていくうえで必要ですが、ありすぎても害になるそうです。
酸素の害とは、物質を酸化しやすいということ。
しかもこの働きは、「原子」によるもの。
ここからは想像力を働かせて理解を深めていきましょう。
この世の全てのものは原子から成り立っていて、(手短に説明すると)原子核のまわりに電子が回っている構造をしています。
しかも電子は2個ずつペアになって原子核のまわりを回っています。
ペアが揃っていれば安定した安定した状態。
電子が1つしかない状態は不安定な状態で、ほかの物質から電子を奪います。
電子を奪われた分子は不安定になり、新たな物質から電子を奪う、このような連鎖反応が次々に起こります。
フリーラジカルとは
整理すると、1つの軌道に電子2個のペアが安定で、それと同じ軌道に電子が1つだけ(不対電子)なってしまうと、非常に不安定ということ。
いうなれば不対電子は淋しくてたまらない。是が非でも電子を補うために、攻撃を仕掛けてでも無理やり電子を奪おうとする過激さがある。
この不安定な状態にある分子のことを「フリーラジカル」と言い、ラジカルとは、過激な、という意味を持つこと。そう覚えておいてください。
美容界ではこのような専門的なことを学ぶことは珍しくありません。
肌トラブルの原因の1つだからこそ、注目が集まり、対策となる方法や成分が提案されています。
植物界での活性酸素については、後半の葉焼けの記事でご紹介しておりますので、ご参考になさって下さい。
活性酸素が敵視される理由
電子や分子をカップルや孤独な人?に例えると、フリーラジカルがイメージしやすいと思います。
ちなみに酸素が不対電子をもって、ラジカルに変身したものが「活性酸素」です。酸素が反応性が高い物質に変化し、有害になります。
その作用はこちら。
私たちは酸素を肺で取り入れて、糖や脂肪をミトコンドリアで燃焼させています。このときに活性酸素が1~3%生じます。
その特徴は強力な酸化力で、血管や内臓に障害を与え、果ては老化やがんまで引き起こす、生命にとっての敵。
活性酸素はDNAや細胞にダメージを与える十分なエネルギーを持っているのです。
ちなみに私たちの身体で話をしていますが、植物も活性酸素を発生させます。
どうやって発生するのか、その原因を見てみましょう。
活性酸素の発生とダメージ
なぜ活性酸素はどうして起こるかについて。
まず発生原因は、紫外線、排気ガス、たばこの煙などがあり、酸化ストレスと呼ぶことがよくあります。
美容界で活性酸素が大敵と言われるのも、原因から理解出来ますね。
酸化とは物質と酸素が結びつくことで起こる化学反応で、身近によくある反応です。
酸化ストレスによって発生した活性酸素が、私たちや植物のからだの物質に反応し、ダメージを与えます。
ちなみに肌では、肌表面のオイルと活性酸素の結びつきでダメージが起こります。
皮脂の酸化とエイジングケア
肌表面の皮脂と肌の上にはオイル、つまり皮脂があり、活性酸素によって肌表面の皮脂が酸化します。
酸化すると過酸化脂質、つまり肌サビといわれる物質がつくられ、とどんどん酸化が進行。肌本来がもつうるおい、ハリ、明るさなどを保つ機能が低下します。
また、酸化は肌表面だけでなく肌の内側の細胞にダメージを与え、ハリや弾力を失い、肌ダメージとなって顔にあらわれます。
皮脂の酸化対策、活性酸素発生要因を、いかに避けるかがエイジングケアの肝になると、美容界では常々メディアに取り上げられています。
葉焼けと活性酸素
観葉植物の葉の変色、いわゆる葉焼けや枯れてしまった原因を探ると、「活性酸素」が登場します。人間の体内に活性酸素が発生する要因に、紫外線がありました。
植物も同じ、紫外線は植物の細胞にダメージを与えます。
光合成の働きを阻害することがあり、クロロフィルという色素にダメージを与えることから、葉の色が薄くなるなどのトラブルが起こります。
ただし植物によって、紫外線が必ずしもフリーラジカルや活性酸素を発生させるとは限らないそうです。
植物の細胞は高温度や急激な気温の変化、急な強い光に当たると、葉焼けを起こします。
光の温度と強さに敏感なので、日当たり、温度変化の環境は常に配慮することを、屋内植物アドバイザーの谷奥先生は強調しています。
観葉植物と肌を活性酸素から守る意識
活性酸素が植物や人に悪さをする物質であり、その発生原因が身近にあることがおわかり頂けたかと思います。
排気ガス、紫外線、タバコの煙など少しでも避けたり取り除くことを心がける。
それが身近な環境対策になります。